カラスは白い? 黒い?

 自分が問題と思っている、現代の TV の怖さを例えてみます。


 TV でカラスの話題になった。
 「カラスは白いのに、黒いという人がいる」
 え?と思う。でも、貴方は実はカラスを 1 回しか見てなかったとする。
 (カラスって黒いんじゃ……図鑑でも黒かったはずだけど……)
 貴方は不安に思う。
 TV では「教授」なり「研究家」なりの肩書きをつけた人が「カラスはね、白いんですよ」「黒いなんて言ってる人はね、常識がないですね」なんて言ってる。
 その自信を持った弁と、まるで「カラスは黒い」と思っている人は馬鹿だと言いたげな雰囲気。
 (あんな偉い人が言ってるなら、もしかして、カラスは白いのかも……あのときのは見間違いだったのかも……)
 貴方はだんだんと不安になる。
 (鳩だって真っ白なのもいるしなぁ……)
 不安にかられた貴方は、カラスが白いという証拠(例:写真など)が一切出ていないことすら気付かない。
 そうこうしているうちに、TV では「茶の間の皆さん、カラスは白いですよ」で終わる。
 きらびやかな CM に入る頃には、貴方の心の中では「カラスは白い」になっているだろう。


 で、貴方はカラスをいっぱい見ていて、「カラスは黒いに決まってるだろう」とちゃんとした知識による裏付けからきた揺るぎない自信があったなら、どうだろう?


 それでも、TV は「カラスは白い」と言い続けている。
 一切、その証拠を出さないで、だ。
 珍しく証拠が出たと思ったら、Photoshop で捏造した写真だったりする。
 「カラスは黒いよ」という意見は黙殺される。
 Web と違い、TV は一方通行のメディアだ。TV 側が無視したものは「ないとされる」。
 そして、残念なことにカラスの色をよく知らない人がたくさんいる。


 無知は罪だ。
 諸君。