呪怨 2(劇場版)

 ビデオ版『呪怨』は 1 も 2 も観てるし、劇場版の 1 も観てる。
 予告なら劇場で観たことがあるし、虎視眈々と旧作に落ちるのを待っていた作品。


 見所はやはり伽椰子か。
 あの独特のメイクと動きは面白い。
 時系列をバラバラにしているのも面白いと思う。
 『死霊のはらわた』のサム・ライミがハリウッドでリメイクするということなので、『リング』と同じく世界的に認められた作品なのか。


 実は『呪怨』シリーズは好きではない。
 それは 2 を観て決定的なものになってしまった。
 自分がホラー映画に求めるものは「出ないドキドキ感」が好きであって、出過ぎなのは好きではないのだ。
 確かに伽椰子の動きは怖いし、気持ち悪い。キャラ立ちはしている。
 でも、『呪怨』は好きになれないのだ。


 突然だが、自分は「お笑い芸人の真似した素人の芸」には不快感を感じることがある。
 別に、パーティーなんかで、その瞬間を全員が楽しめていれば問題はない。
 そういう空間なのだし。
 その場限りで終わらせるならば。
 しかし、明らかに周りが白けているのに、「ウケているので続けよう」とか「もっと続ければウケる」と勘違いしている人がよくいるのだが、これは見ていて痛々しい。
 (特にそういう人ほど「人を中傷する」ネタがお気に入りなので、さらに痛々しい)
 お笑い芸人がお金を稼げているのは、ネタをしつこく繰り返す「だけ」ではない。
 「素人なんだしいいじゃん」と意見もあるだろうが、「しつこい」という不快感についてはオヤジギャグに通じるものであり、非常に自分本位な趣味になるので、その人以外が迷惑を感じているのだ。


 さらに、プロのお笑い芸人にも、求められるものがあるはずだ。
 真面目な顔して「ぬばぁ〜ほれむちょねろねろ」とかアクションを交えてやれば、徹夜明けなら笑ってしまうが、それはたぶん誰がやってもそうだし、しっかりと目が覚めた人なら「この人、何やってるの?」と怪訝な顔をされても仕方ない。


 とにかく、「プロの芸人」というのは「瞬間の引き際を知っている」ことが重要なのではないだろうか。
 ウケるネタがあったとしても、それを矢継ぎ早に連投してはネタの鮮度が落ちるのは早いはずだ。


 そして、『呪怨』シリーズにはこれによく似た不快感を感じている。
 『リング』の貞子は最後にちょろっと出てくるからいいわけで、プロの芸人気取りに出ずっぱりの伽椰子は「芸人を真似する素人」にしか見えない。


 ただ、これは個人的な感想だ。
 世間一般での評価は高いようだし、ハリウッドに認められたというのも事実なのだし。
 思うに見方が違うのだろう。
 これはモンスター映画なのだ。
 ハリウッドのホラー映画というのは、『スクリーム』などを観てもわかる通り、ポップコーン片手にギャーギャー騒ぎながら観るものなのだ。
 評価が高い人は、最初からそういう風に観ていたのかもしれない。
 モンスター映画ならば、出ずっぱりでスクリーン所狭しと大活躍するのも頷ける。
 だから、ホラー映画のキャラクターは強くなる。『13 日の金曜日』シリーズのジェイソンや、『ハロウィン』シリーズのマイケルのように。
 もしかしたら、「軍隊 vs 伽椰子」が観れる日も近いかもしれない。


 でも、" 怖い映画 " なら、自分は『リング』の方が好きだ。