コンスタンティン

 主人公は、天国側のエージェントとして、人間界に侵入しようとする悪魔たちを退治していく毎日。
 しかし、最近は変だ。影には『大きな』存在が?


 ……という、ネタ的に日本ではよくある内容なんです。
 ただ、ここらへんはお国柄が出てます。
 日本だと『凄い能力を持ち、弱点もあまりない主人公が表情も変えずにバッタバッタと敵を倒していく』パターンが多いですな。
 それに対して、この主人公は特別に能力もないので、ひぃひぃ言いながらアイテムとかを駆使して戦ったりするのが面白かったですね。
 一応、エクソシストっぽいことはできたりするんですが、ヘビースモーカーだわ、" 隣人への愛 " はないわと、えらい人間っぽい主人公なのです。


 元々はというと、アメコミで何かの作品の脇役だったらしいんですが、人気が出たんで、スピンアウトしたという『キャットウーマン』パターンですな。
 アメリカモノは「HAHAHAHA!」と笑いながら敵をバタバタと倒していくというイメージがあったんですが、アメコミについては、暗いものを引きずったり、苦悩しながら戦ったりすることが多いようです。
 この映画でも、弱い部分を引きずりながら頑張っています。
 そこが気に入らない人もいるかもしれません。


 《ここからネタばれ
 設定が好きです。
 自殺しちゃったけど、キリスト教じゃそれは大罪だから地獄行きが決まっちゃって、でも、見えないものが見える能力があったんで、そこを見込まれて(?)侵入者を倒すことで点数を稼いで天国に行くのが目的という。
 それなのに、ヘビースモーカーで肺ガンになって余命幾許もないという愚か者。それで、天使ガブリエル(!)に「頼むよ。もっと点数稼ぐから寿命伸ばしてよ」とか頼んだりするし。
 で、基本的には見えるだけの喧嘩が強い人なので、さっきも言ったように弱い。そこを補うためにアイテムを駆使するのが楽しいですね。もっと活用してほしかったところです。
 (cm で炎吹いてたアイテムって活躍したっけなぁ?)
 あの人には是非生きてて、次回からも『007 の Q』みたいな存在になってほしかったナァ。


 ただ、弱いからこそああいう解決法しかできなかったのかもしれませんな。
 主人公が決着するんじゃないしなぁ。
 まぁ、テーマ自己犠牲だからなのかもしれませんが。
 日本漫画とかに慣れてる人には辛いかも知れませんな。
 自分はあの決着方法は楽しめました。


 思わず吹き出す絵面が多いのも魅力ですな。
 主人公が猫を抱えながら、足を水を溜めた洗面器に突っ込んで、椅子にちょこんと座っている間抜けな絵面とか。
 天国に迎える光の中、中指を立てるシーンの絵面のおかしさもお気に入りなので、満足、満足。

 《ここまでネタばれ


 話的には、宗教ネタがちょろちょろ出てくるので、エヴァとかで聖書にハマった人にはいいかもしれませんね。
 自分はあまり詳しくないので、よくわかりませんでした。<元ネタとか
 でも、「あそこがおかしい」とかはナシですよ。
 この映画は真面目に観ちゃいけないと思います。
 『有り難い言葉が刻まれたメリケンサック』とか『十字架型のショットガン』あたりにニヤニヤしながら観るのがオススメ。


 しかし、本当に日本はクールで万能な主人公が好きですな。
 わかりやすい例が『三国志』の孔明でして、日本だとクールで頭がよくて表情もあまり変わらないのが『カッチョいい孔明』ですが、本国では「あいやー」とか言って時々失敗するくらいが『愛される孔明』なんだそうです。
 MMORPG でよく問題視される『俺 TUEEEEEE』ですが、日本人が一番わかりやすいヒーロー像なのかもしれませんな。
 自分としては、強いのもヒーローとしてもちろん否定しませんが、" 負けロールプレイ " が大好きな身としては、悩んでたりする人の方がカッチョ良いです。


 で、なんかノってきたので、『ハイド・アンド・シーク』に飛び込みました。